睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群とは

だるい睡眠中にいきなり呼吸がとまり、しばらくすると「……ッンガ」と息を吹き返すのが睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)です。多くの患者さんは普段からいびきがうるさいといわれていることが多く、呼吸とともにいびきも突然止まることで家族が異変に気がつくことが多いようです。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に無呼吸状態を繰り返す病気です。医学上は10秒以上の気流停止を無呼吸といい、一晩(7時間)の睡眠中に30回以上無呼吸が認められる場合、あるいは1時間に5回以上無呼吸がある場合に睡眠時無呼吸症候群としています。

睡眠中の出来事であるため自分で気がつくことは稀で、潜在患者数は300万人もいると推計されています。21世紀の国民病といわれることもあります。治療法が確立されているため、適切に検査・治療を行えば決して恐い病気ではありませんが、放っておくと高血圧や心臓循環障害、脳血管障害などにつながるリスクがあります。

呼吸が止まること自体が大きな健康上の問題ですが、この病気が深刻なのはそのリスクの大きさです。患者さんの個人の健康の問題にとどまりません。
睡眠時無呼吸症候群が病気として大きな注目を集めるきっかけとなったのが、2003年に起きた山陽新幹線の運転士の居眠り運転です。800人の乗客を乗せた新幹線の運転士が8分間(この間26km走行)熟睡し、自動列車制御装置によって岡山駅で緊急停止しました。一歩間違えば大参事になりかねない事故でした。その後の検査で運転士は睡眠時無呼吸症候群と診断されました。その他にも、2012年、関越自動車道でツアーバスが防音壁に衝突して乗員乗客46人が死傷した事故は記憶に新しいものですが、これも運転手が睡眠時無呼吸症候群だったと診断されています。
この外にも多くの交通事故に睡眠時無呼吸症候群が関わっていることがわかっています。また、原発事故やスペースシャトルの事故なども、睡眠時無呼吸症候群に起因するミスや不注意が原因になっているともいわれています。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まることで極度の睡眠不足を引き起こします。昼間に突然眠気が襲ってきます。これは昼食後の会議中に感じるような「うつらうつら」といった眠気ではありません。運転中であればこれでも十分危険ですが、「フッ」と一瞬で深い眠りに落ち込む抗いがたい眠気なのです。新幹線の運転士は緊急停止後に車掌に起こされるまで熟睡していたと伝えられています。

睡眠時無呼吸症候群のおもな症状

睡眠睡眠は、体を休めるだけでなく脳を休める大切な時間です。この大切な時間に呼吸が止まると、体内の酸素が不足するために心拍数が上がり、体を休める状態になりません。さらに、たびたび呼吸が止まるため、低酸素状態を察知した脳が無理やり呼吸を再開させます。それが「……ッンガ」と息を吹き返す状態です。つまり、脳も休んでいられません。
その結果、昼間に抗いがたい強い眠気、倦怠感、集中できないなどの症状が現れます。

  • 寝ている間のおもな症状
    大きないびきをかくのが特徴です。そして、いびきが突然止まり、しばらくして再開します。その間、呼吸が止まっています。また、呼吸が乱れて苦しそうにしたり、むせたりします。寝汗をかいて何度も目が覚めることがあります。
    ただ、本人に呼吸が止まっている自覚はほとんどありません。近くで寝ているご家族などによく状態を聞いてみてください。
  • 起きたときの症状
    まず、目覚めよくすっきり起きることができません。熟睡感がまったくなく、目覚めた時から体が重く疲労感を感じたりします。睡眠中は口呼吸になっているため口が乾いていたり、頭がズキズキしたりすることもあります。
  • 日中の症状
    常に眠気を感じます。会議中、運転中などに強い眠気を感じ、気を失って落ちるように眠ってしまうことがあります。一日中だるさを感じ、また、集中力や記憶力が欠如した状態が続きます。寝ている間にも疲労回復ができていませんので、慢性の疲労感に悩まされます。

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